📮KURUME LETTER
🧑🏫教職員
【教員コラム】鍋谷照(人間健康部 総合子ども学科)
今回のコラムを担当する総合子ども学科の鍋谷照です。保育内容(健康)や幼児体育の授業を担当しています。
今から15年ほど前、発展途上国で仕事をする機会があり、なかなかのカルチャーショックを受けました。空港では「マネー、マネー」と、物乞いの少年たちの細い腕が我々に向けて伸びてきます。一方、恰幅のいい大人たちが広場に集まり、ダイエットのためのエアロビクスをしているのです。聞けば、生活習慣病が徐々に増えているとのこと。何とも言えない矛盾を感じたものです。
少し調べてみると、同一地域の中で、飢餓と栄養過多が混在している状況は結構あるようです。単純に貧富の差というわけではなく、豊かになりつつある変化の過程の影響もあり複雑なようです。お金がない人は飢えている。裕福であれば健康を考えられる。でも、少ししかお金がなければ、健康に悪かろうが、手軽な高カロリーの物に手を出すしかない。確かに、100円しか持っていなくて、何かを食べるということになったら、ハンバーガーは買ってもレタスは買わないでしょうからね。
発展途上国は急速な文明化で生活が変貌しています。
皆さん「発展途上国は大変だけど、自分にはあまり関係ない」と思っているかも知れないですね。でも、本当にそうでしょうか。日本の子どもの貧困は7人に1人。日本においても格差は生じています。間違いなく健康問題と経済は切り離せないものです。僕は、発展途上国で感じた矛盾を、日本社会で感じるのです。
子どもは生まれてくる社会を選ぶことはできません。だからこそ、大人が責任を果たすべきだと思います。「健康」をキーワードとして、子どもの未来を皆さんと一緒に考えたいと思っています。