📮KURUME LETTER
学生が日本創造学会研究大会で研究大会発表学生賞【文学部情報社会学科】
文学部情報社会学科 4年の井原 颯太さんが、日本創造学会第44回研究大会(全国大会)で発表した論文(発表当時3年生)が、「研究大会発表学生賞」を受賞しました。全国規模の本学会で学生が発表するのは珍しいことですが、さらに選ばれた3名の学生賞受賞者の中で大学院生に交じり唯一大学生の受賞者となり、今後の活躍が期待されます。
この受賞を受けて井原さんは、5月14日に開催予定の日本創造学会アワード受賞者講演会で講演を行います。
井原さんのコメント:
光栄な賞をいただき大変嬉しく思います。今回、受賞できたのは、全国規模の学会で発表するという貴重な機会を用意して、サポートしてくださった川路先生や、研究に協力してくださった方々のおかげです。この場をお借りしてお礼申し上げます。発表の際は非常に緊張しましたが、仮想現実やリモートワークなど、社会的関心の高い分野で研究し、無事に発表できたことが、このような成果に繋がったのではないかと考えています。
論文の内容と発表を振り返って
論文のタイトルは「視野の広さが発散的思考に与える影響の評価構想」です。
映像と音声を用いた遠隔地どうしのコミュニケーション(Zoomなど)は、発散的思考(多種多様なアイデアを考え出す思考)を阻害することがわかっています。そこで、本研究では、発散的思考が発揮できない問題の解決策として、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いたVR空間で、創造的な会議を行うことを提案しています。5月頃から研究のテーマを考え始め、11月の初旬まで統計処理や分析をしていました。特に実験をしていた7月、8月頃は非常に忙しく、夏休みも論文の執筆に取り組みました。特に研究データを集めるのに苦労しました。
2年生の時に川路先生の講義で創造技法を学んでいたので、3年生では、創造性をテーマに研究してみようと思いました。そして、さまざまな先行研究を調べていく中で、「バーチャル・コミュニケーションは創造的なアイデア創出を抑制する」という論文に出会い、その内容とメタバースという社会的に関心が高く、個人的にも興味を持っていた領域を組み合わせて、ビジネスサイドに応用できる研究をしようと思い立ったのが、この研究論文執筆のきっかけです。
初めての学会発表でとても緊張しましたが、座長の先生が優しく声をかけてくださったおかげで、落ち着いて発表に臨むことができました。また、質疑応答では、うまく答えられない場面もありましたが、専門家の方々から貴重なご意見をいただくことができました。発表をとおして、自分の研究や自分自身の弱点を知ることができただけでなく、他大学の皆さまなどから良い刺激を受け、学会に参加できて大変勉強になりました。
久留米大学(文学部情報社会学科)での学びについて
文学部情報社会学科は、他の学部や学科と比べると、幅広く体系的に学べるのが特徴であり、入学当時、明確な進路が決まっていなかった私にとって、魅力的な学科でした。また、プログラミングなどの情報系科目がカリキュラムに含まれていた点もこの学科を選んだ理由の1つです。将来は、大学で身に付けた情報処理能力や課題発見・解決力を生かして、IT系の職業に就きたいと考えています。
情報社会学科ではグループワークやプレゼンテーションをする講義が充実しており、そのおかげで、自分の意見を相手に伝える能力が向上したと感じています。今回の発表でもそれを生かせました。これからもさまざまな経験をして自身を高めていきたいです。
論文
「視野の広さが発散的思考に与える影響の評価構想」
An evaluation concept of the impact of breadth of vision on divergent thinking
(指導教員:文学部情報社会学科 川路崇博 教授)
5/14追記:
5月14日にオンラインで開催された日本創造学会アワード受賞者講演会では、一般の研究者や大学院生に交じって講演し、司会者の方からも「立派な説明だった」と感想が伝えられるほど、堂々とした発表ぶりが印象的でした。情報社会学科では、資料作りから発表までプレゼンテーションを学ぶ授業や発表の機会も多く、自分の考えを説得力をもって伝えるための技術を日々磨いています。
井原さんのコメント:
本講演会では、2022年11月の学会発表時より、落ち着いて研究を発表することができたのではないかと感じています。しかし、15分という限られた時間の中で内容を説明することが難しく、発表時間をやや超過してしまいました。今後は卒論発表会などにも備えて、複雑な情報をより簡潔明瞭に話す能力を向上させていきたいです。