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学びの第一歩を地域とともに【久留米・筑後体験演習】
📝学び

学びの第一歩を地域とともに【久留米・筑後体験演習】

「久留米・筑後体験演習」で1年生が現場から社会を学ぶ

久留米大学では、学生の人間力を養うとともに地域に貢献する人材の育成を目指して、文・人間健康・法・経済・商学部の1年生が学部の枠を超えて共に学ぶ「久留米・筑後体験演習」を開講しています。

本授業は、久留米・筑後地域そのものを“キャンパス”と見立て、地域の企業や団体での実践的な体験と、学内での事前・事後学習を組み合わせたアクティブラーニング型のプログラムです。学生はフィールドワークを通じて、地域社会が抱える課題に触れ、仲間や地域の方々との交流の中で課題発見力や主体性を磨きながら、自らの学びの方向性や将来像を考えるきっかけを得ています。

地域を知り、自分を知る

この授業では、「人間力を養い、その後の大学生活で主体的に学ぶ姿勢を身につける」ことが到達目標とされています。講義や教科書からは得られない現場の学びを、1年生の早い段階で体験することにより、大学生活の方向性や、学びへの姿勢を深める狙いがあります。

学生たちは希望分野に応じた演習先に配属され、月に1回、文系・医学系の垣根を越えたグループで活動を行います。今年度は17の演習先が用意され、約90名の学生が地域での活動に参加しました。

道の駅くるめ
道の駅くるめ
久留米市美術館
久留米市美術館
筑後川流域倶楽部
筑後川流域倶楽部
小中学生の学習支援
小中学生の学習支援

演習先との協働で深まる学び

演習先は、地域に根ざした活動を行っている企業や団体が中心。体験先での活動中は「学生」としてではなく「一員」として行動するよう促され、地域住民と共に問題意識を持ちながら行動することで、実践的な学びが深まります。

中には、体験先での経験を契機にアルバイトや継続的な関わりを持つようになる学生も。翌年にはその学生が「先輩」として後輩を指導する場面も見られ、学びの連鎖が生まれています。

観光コンベンション国際交流協会
観光コンベンション国際交流協会
高良山同志会「獅子舞体験」
高良山同志会「獅子舞体験」
子育て交流プラザくるるん
子育て交流プラザくるるん
子育て交流プラザくるるん
石橋文化センター
石橋文化センター
子どもプロジェクト
子どもプロジェクト

学生の声から見える“成長”

演習後の学生たちからは、「現場を体験することで、教室では得られないリアルな気づきがあった」「思っていたよりも厳しい現場だったが、その分学びが多かった」といった声が多く寄せられました。中には、理想と現実のギャップに気づき、今後の進路について真剣に考えるきっかけになったという学生もいます。

参加した学生たちの声

野田 新菜さん(法学部)
 演習先:くるめ災害支援ネット ハッシュ# 
「2年前豪雨災害の被害にあった田主丸町竹野地区へ土砂の撤去作業を行いました。こんなに大変な災害であったことや現在の復興状況についても、久留米市に住んでいるにもかかわらずよく知らなかったのですが、被災地に足を運んでようやく実感しました。炎天下の中での作業は体力的に厳しかったものの、安全に気を配りながら皆さんと協力して作業を進め無事に終わらせることができて安心しました。体験演習は、災害支援に対する関心が高まる貴重な経験となりました」

松藤 颯太さん(文学部国際文化学科)
 演習先:久留米市美術館
「美術館が好きという理由で参加しました。久留米市美術館、石橋正二郎記念館の見学、ギャラリートークの参加や美術館の受付や監視、美術館講座の準備から片づけなどを体験し、普段のお客目線ではなく、そこで働いている人たちの目線を少しでも体験できたのは一生の思い出です。一つの展覧会のために、計画は2年前から行われ、たくさんのお金や人が動いていることを知り、そのプレッシャーや責任の大きさも学ぶことができました」

井出 真央さん(文学部社会福祉学科)
 演習先:小中学生の学習支援
「ひとり親家庭の子どもたちを下校後に預かっている場所で、子どもたちへの学習指導や話し相手などを行いました。はじめは全く話すことができなませんでしたが、子どもたちを観察し、好きなことや興味がありそうなことを見つけて会話をするうちに、子どもたちからも話しかけてくれるようになり、とても嬉しかったです。勉強の教え方、傾聴の仕方など様々なことを学ばせていただきました。また、ひとり親世帯の貧困問題についても考える機会となり、この問題の解決策の一つとして学習支援もあると感じました。このような活動を拡大、継続するためにできることを考えていきたいです」

角田 晋さん(経済学部)
 演習先:NPO法人がんばりよるよ星野村
「星の花公園のシャクナゲの花摘み作業、竹林整備、森林整備と3回の作業に参加しました。森林資源の管理の重要性や、自然環境を守る活動の意義を感じました。現在、星野村での活動の中心は高齢者であり、今後若い人たちを巻き込めるかが地域の将来を左右するカギになっています。今回の体験演習を通して、星野村のような魅力ある地域が今後も多くの人に支えられながら、次世代へ引き継がれていくために、単なる作業だけでなく、自然と人のつながり、地域社会の実情、自分の役割について考える機会となりました」

小峰 さん(医学部医学科)
 演習先:子どもプロジェクト
「今回の体験を通じて、子どもたちと直接関わりながら学ぶ機会を得ました。小学校での交流では、子どもたちが一つの遊びに熱中しても飽きが来るのが早く、時間の組み立てや進行の工夫が大切だと実感しました。事前にトラブルを想定し、臨機応変に対応できる体制を整えることの重要性も学びました。また、ボランティア活動によって子どもたちだけでなく、保護者の方が安心して過ごせる時間を提供できることにも気づきました。さらに、不登校やいじめの問題を学ぶ中で、背景には社会情勢や家庭環境や経済的な要因、子ども同士の人間関係など複雑な事情があることを理解、実感しました」

発表会で学びを共有

7月26日(土)には、御井本館12A教室にて、体験演習の集大成として発表会が行われました。学生たちはグループごとにスライドを用いて、現場での学びを振り返りながら報告。体験を言語化し、他者に伝えるプロセスを通じて、学びの定着を図りました。

発表の様子
発表の様子
発表の様子
発表の様子

今後の展望

本演習は1年生対象の授業ですが、将来的には上級生向けの体験型授業との連携を図り、継続的な学びの流れを生み出すことを目指しています。地域と大学のつながり、そして学生の成長の場として、今後ますます期待が高まる取り組みです。


【演習先】(あいうえお順) ※2025年前期

・石橋文化センター
・NPO法人がんばりよるよ星野村
・株式会社駅前不動産
・株式会社森光商店
・観光コンベンション国際交流協会
・くるめ災害支援ネット ハッシュ#
・久留米市美術館
・久留米商工会議所
・高良山同志会
・子育て交流プラザくるるん
・子どもプロジェクト
・社会福祉法人こぐま福祉会
・就労支援”藍”
・小中学生の学習支援
・青少年科学館
・筑後川流域連携倶楽部
・道の駅くるめ