📮KURUME LETTER
学生サークルteam.csvが沖縄県浦添市で小中学生向けにSTEAM教育を実施
商学部木下ゼミの学生有志によるボランティアサークル「team.csv」は11月12日、沖縄県浦添市で小中学生に「数学&プログラミング コンピュータ・サイエンスワークショップ」を実施しました。また、今回のイベントは浦添市のデジタル人材育成事業の一環として行われました。
team.csvの名前の由来は「Computer Scienceを活用したVolunteerを行うTeam」で、福岡県を中心にコンピュータ・サイエンスを楽しく本格的に子どもたちに伝える活動をしています。今回は、浦添市とCoderDojo浦添の主催のもと、琉球大学教育学部と本学地域連携センターの共催で行われました。また、来場できない教育関係者などに向けて同時配信も行いました。
午前の部は「不思議な数字の法則:サイコロをプログラミング」というテーマで、まずは実物のサイコロを使った実験を行いました。実験内容はサイコロを100回ほど振ったときの目の平均値を求めるというものです。どの参加者からも3.5に近い数値が計算され、ランダムな現象にも法則があるということを実体験から学習しました。この実験を、プログラミング言語を使って行い、短時間で1万回、10万回の平均値も求められることを体験し、その結果、より3.5に近い数字が求められることを理解しました。
午後の部は「サイコロを使って円周率を求めよう!数の不思議な性質とアルゴリズム」というテーマで、午前の部で学んだ知識を活用し、さらに高度な数値実験とそのプログラミング方法を学んでもらいました。この実験では、100面サイコロと、縦横100マスずつの合計1万マスが描かれた紙を使用します。100面サイコロを2回1セットで振り、平面上のマスを座標と考えて位置を確定し、そのマスを色鉛筆で塗るという作業をします。
この紙には左下を原点及び円の中心として100マスを半径とした4分の1円が描かれています。この円の内側と外側にそれぞれ塗られたマスがいくつあるのかを数え、その比率から円周率が求められるという実験です。実際には、本物の100面サイコロは最初の1回だけ使用して、それ以降は午前の部で作成した普通のサイコロのプログラムを100面サイコロに改造したものを使いました。さらに、この作業もすべて自動化するための計算方法を学び、その考え方を取り入れたプログラムを作りました。このプログラムにより、1万回、10万回といった実験を行うことで、より正確な円周率の値が近似できるということを確認しました。このような実験をモンテカルロ・シミュレーションといいます。子どもたちは、算数レベルの知識を駆使することで、より高度な数値の近似計算アルゴリズムを学びました。
今回も、team.csvによるオリジナルの教育コンテンツで、教科書と主な教材の作成、および講師役をteam.csvのメンバーが担当しました。また今回は子どものサポート役と一部の教材作成を琉球大学教育学部の岡本ゼミの学生が担当しました。
参加した中学2年の片岡明依さんは「小学生の頃から少しずつプログラミングには触れてきました。最初は難しいかなと思ったのですが、大学生のお兄さんやお姉さんが分かりやすく教えてくれて、そばで優しく声もかけてくれたのでとても楽しかったです。また参加したいです」と感想を述べました。また、琉球大学教育学部4年の塩見悠斗さんは「普段は、教員になるために学校での指導や学級経営の仕方などを勉強しています。小学校の教員を目指していますが、今日は私が考えもしなかったようなことを思い付く子どもたちの様子を見て、プログラミングでは他の授業では見ることができない姿を見ることができるのではないかと思いました。今日の内容はとても参考になりました。私が教員になったらぜひ放課後の活動などに取り入れたいです」と感想を述べました。
今回参加したteam.csvメンバーの多くは4年生で、今回の活動を最後に引退します。商学科4年の樋口理奈さんと山下弘貴さんは「長時間だったので、分かりやすく、そして最後まで楽しんでもらえるようにということを意識して取り組みました。子どもたちが積極的に真剣に学ぶ姿が見られてとても嬉しかったです。team.csvの活動を通して、将来につながる道が開けたと思いますし、ここでの経験を活かして今後も頑張っていきます」と締めくくりました。
なお、このイベントの実施に先駆け、前日11月11日に、浦添市役所にて松本哲治市長を表敬訪問しました。庁議室でteam.csvのこれまでの活動と今回のイベント内容について説明をしたところ、市長より今回の活動について歓迎され、来年以降のワークショップ企画運営についても依頼を受けました。