📮KURUME LETTER
文学部30周年記念講演「やまの時間を知る」
本学では、地域や企業と繋がり、課題を解決することや社会に貢献するなかで、自分の学びとする学修プログラムを実施しています。今回、八女ほたる農園の森山氏にお越しいただき「やまの時間を知る」をテーマに「やま」で暮らすことの魅力と課題について語っていただきました。この講演は文学部30周年記念行事の一環として行われたものです。地域の方も参加し、多数の方に足を運んでいただきました。
講演の中で森山氏は、高齢化や災害に悩まされる上陽町や、ご自身がされている紅茶作りや耕作放棄された茶園を支援する活動について紹介された後、今後の学生と地域が一体となった支援への期待についてお話しされました。
参加した学生は「これまで八女に行ったことがなく、お茶づくりに触れる機会もなかったが、今回の講演でお茶の作り方やそれに携わる人について深く知ることができ、興味が湧いた」と話してくれました。また企画した川路教授は「現代の暮らしでは、山間部での生活の様子は知識のみに留まっている。やまの暮らしを実践されている森山様の貴重な体験・経験を、今後の学修に活かしていきたい」とコメントしました。
また、12月26日には川路ゼミの学生が森山さんと共に御井キャンパスから高良山へ片道4kmの軽トレッキングに出かけました。このトレッキングの目的は実際に外で携帯茶器に注いだお茶を飲んでみて課題を見つけることです。携帯茶器は川路ゼミの学生がデザインを考案したものを元に制作されたものです。行きの行程では北谷コースをたどり、途中の東屋からは筑後平野を一望することができます。眼下には御井キャンパスの校門をちょうど見ることができます。吉見岳山頂付近の琴平神社の雑木林を抜け、高良大社を目指す途中、他のハイカーの方ともすれ違いました。
高良大社でお参りをした後、久留米森林つつじ公園まで歩き、お昼にしながらお茶を入れました。参加した学生からは「二煎目(二回目に淹れたお茶)の方がおいしい気がする」「一煎目は渋みが強かった?」等の感想があり、味の変化を楽しむみながら、携帯茶器の使用感をテストしました。
今回のテストで分かったことは、外で楽しむお茶は特別においしく感じる一方、お茶殻の処理や適切な温度でのお湯の携行方法には課題があることが分かりました。今後も課題を解決しながら、急須で飲むお茶を広める活動を続けていきます。ご協力いただいた森山様、誠にありがとうございました。
森山 正 氏(プロフィール)
八女ほたる農園代表。久留米市内の中学校・特別支援学校に勤務するかたわら、八女市の耕作放棄地で、やまでの生活を始める。定年後、本格的にまちからやまに移り住み、しいたけや緑茶、紅茶などを生産している。生産した紅茶は、イギリスの国際大会「グレート・テイスト・アワード2019」を受賞。2022年夏には、キャンプ場をオープン。