📮KURUME LETTER
気候変動に関する報告書を読み解きプレゼンを実施
2月16日、御井キャンパスつながるめにおいて、商学部近江ゼミの学生9名が、気候変動に関する報告書を読み解き、高校生にも分かる解説でポイントを伝えるプレゼンテーションをzoomウェビナーで行いました。
これは、大阪市にある特定非営利活動法人地球環境市民会議(CASA)主催「第21回ちきゅうcafé」として実施したもので、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)※が2021年に公表した第6次評価報告書(AR6)の一部であるワーキンググループ1の政策決定者向け要約を学生が解説しました。
※IPCC:1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された国際的な組織で、190余りの国と地域が参加。各国の政府関係者に加え、気候変動などの分野の専門家や科学者も参加し、地球温暖化や気候変動の問題に対応するために必要な専門知識や情報を世界に公開している。
近江ゼミでは、環境問題や地域問題など現実の経済・社会問題を取り上げ、プレゼンテーション、ディスカッションを通じた論理的思考力、表現力を身に付けることに取り組んでいます。学生たちは4つのグループに分かれ、約1年をかけて報告書を読み込み、高校生が聴いても分かる解説を目指し、ディスカッションやグループワークを重ねてきました。A章からD章までをそれぞれのグループが担当し、地球気候の現状、将来あり得る気候、気温上昇1.5度と2度がもたらす影響の違い、大幅なCO2排出削減が急がれる理由などについて、それぞれが趣向を凝らした資料を作成し解説を行いました。
参加した学生からは「初めて報告書を読んだ時は、文章の意味が分からず少し戸惑ったが、何回も読み込んでいく内に少しずつ理解できるようになった。だんだんと自分の中で環境に関する意識が変わっていくのが分かり、周りの人にも伝えないといけないと思った。小さい頃から環境について学ぶ機会が増えれば、もう少し改善や抑制ができるかもしれない」「地球気候の危機を実感していない高校生に、そのことを理解させ行動を変えさせるにはどうしたらいいかを考えて、年々増えている台風やその強度など身近な例をあげた。分かりやすいように、レポートにはない情報を追加したり、文章だけで書いてある内容を自作の図にして入れたりして、言葉選びや資料作りを工夫した」などの感想が聞かれました。
また、CASA専務理事の早川光俊氏は総評で「皆さんよく勉強されたと思う。分かりやすくしようと努力されたことがよく分かった。学生さんの本分は学ぶこと。興味のあることを深く知って学ぶ努力を続けて欲しい。それから、途上国の人たちのことをぜひ考えて欲しい。今日食べる物がない苦しさ、子どもに食べ物を与えることのできない母親の苦しさを想像して分かろうとして欲しい。地球温暖化問題は皆さんの将来にも関わること。世界に目を向け、現実を知って考えることをぜひ続けて欲しい」と述べられました。
近江貴治准教授は「大学生の感性で、学生たちがどのようなプレゼンテーションをするのか注目していた。スライドにはイラストや図が多く取り入れられ、レイアウトもよく工夫されていた。コロナ禍で思うような学外活動ができない中で、外部の方とこのような取り組みができたのは貴重な経験。今後も世界で何が起きているかに目を向け、かつ自分たちも当事者であるという意識をもって行動してほしい」と話しました。
特定非営利活動法人地球環境市民会議(CASA)
https://www.casa1988.or.jp/